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2001/12/31

16.混沌と秩序

 今日は「混沌」「秩序」の話をしましょう。

 「混沌」ってあらためてどういうことだろうと考えると、何だか難しくて、わかっているようでわからないかもしれませんね。辞書にはこう書いてあります。
「天と地とがまだ分かれていない状態。物事の区別が明らかでないさま。」
だから、いろんな物事の境目がはっきりしなくて、流動的で、もやもやしている状態のことだと考えれば良いでしょう。

 では、「秩序」はどうでしょう?
やっぱりあらためて考えると難しいですね。辞書にはこう書いてあります。
「社会や物事の正しい順序。筋道。きまり。組織や構成の整った状態。」
だから、物事がある法則に則って動いていて、全体として整っている状態と考えれば良いでしょう。

 こうして確認してみると、やっぱり「混沌」「秩序」はちょうど反対の状態について言っているように思えます。

 「混沌」のことは「カオス」とも言います。「カオス」というのは、ギリシャ語の「深い淵」と言う意味の言葉から来ていて、英語ではchaos(ケイオス)」という言葉になっています。
このchaosと対になっている言葉がcosmos(コスモス)」です。
cosmosには、「秩序」の他に「宇宙」と言う意味もあります。

 宇宙の星々の構成を考えてみると、地球やその他の惑星が太陽の周りを回って太陽系を構成し、太陽系やその他の星々も銀河の中心を回って銀河系を構成し、さらには、たくさんの銀河もある中心を回って銀河団を構成しているとされています。このように宇宙は秩序だって成り立っています。これがまさにcosmosです。

 それに対して、chaosには「天地創造以前の混沌」と言う意味があり、それはまさに、宇宙の始まりであるビッグバン以前の火の玉のような状態のことだと言えるでしょう。

 つまり、宇宙は「混沌」とした状態から始まり「秩序」だった状態へと変化したわけです。

 でもよーく考えてみてください、この変化の間に一体何があったと思いますか?

 実は、ビッグバンが起こり宇宙が急速に広がっていっただけです。 ただ広がっていくだけで「混沌」としていたものが「秩序」だつというのはどういうことでしょうか?

 私には、「混沌」としていた中に、最初から「秩序」があったとしか考えられません。
無数にある「秩序」が極小サイズにぎゅうぎゅう詰めにされていた為、表現され得なかったものが、爆発して広がるにつれてその「秩序」が表現されるようになってきた。そのように思えるのです。

 そうなのです。
「混沌」「秩序」は反対のことではないのです。
「混沌」には元々「秩序」が内包されているのです。
「混沌」とは全体としては流動的ではっきりしない状態ですが、そこには様々な「秩序」が渦巻き合っていて、実は、そこからどんな「秩序」でも表わすことができる、無限に可能性の満ちた状態なのです。

 さあ、そのことを理解した上で、次の文章を読んでください。

目を閉じて、静寂の中に身をゆだね、頭の中を真っ白にしてみましょう。

でもあなたの頭の中には、
次から次へと映像が浮かび、音が聞こえ、
様々な思いがうたかたのように現れては消えていきます。

あなたの中には、様々な記憶や思いが渦巻いています。
それは、まさに「混沌」です。

そうなのです。
実は、あなた自身が「混沌」なのです。

「混沌」であるあなたには、実は無限の可能性が秘められているのです。

 私たち一人一人は、実は、「混沌」だったのです。
このことを理解した上で、次の、新年のご挨拶を読んでいただければ幸いです。

 それでは、皆さん良いお年をお迎えくださいませ。

平成13年12月31日

Dr.0910

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