このような『意』『実行機能』は、船の舵とり車のハンドルさばきに喩えられているようですが、先に『知』のところで行ったようにコンピュータとの比較で説明すると、例えば、ワープロソフトで作成した文章をプリントアウトするときには、ツールバーにある[印刷]ボタンを押せばプリントアウトできるように、すでにプログラミングされているのですから、[印刷]ボタンを押すことがまさに『意』『実行機能』なのです。

 そして、その『意志』の働きは脳の前頭葉が司っていると考えられています。なぜなら、前頭葉のある領域の障害で、自発的な活動性の喪失(「発動性欠如」と言います。)が起こるからです。最も極端には、「無動性無言」と言って、自ら言葉を発したり、体を動かすことがなく、情動表出もないという状態があります。この場合も、外界からの働きかけに対する反応性は保たれており、いわゆる“植物状態”とは異なるのです。

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