ユングは、「無意識(潜在意識)」は一様ではなく、階層的な構造をしていると考えました。「意識=自我」に近い比較的浅い層は、フロイトが説いた抑圧された意識などから成っており、「個人的無意識」と名付けました。しかし、「無意識(潜在意識)」のもっと奥には、そのような個人的な境界を越えて集団で共有している領域があると考え、「集合的無意識」と名付けました。さらに「集合的無意識」は奥に行けば行くほど、共有している集団の範囲が広くなり、人類全体が普遍的に共有している部分があるとも考えました。例えば、世界中に似通った神話や伝承が存在するのは、「無意識(潜在意識)」の中に、そのような神話や伝承の元になるもの(元型)が存在し、人類全体でそのような部分を共有しているからだと考えたのです。