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ここでは心臓の病気の名前をあげて少し解説をしてみます。
まず主な心臓の病気をリストアップしてみましょう。
※ ちなみに、しばしば使われる「心臓麻痺」という言葉は病名ではなく、また、医学用語でもありません。
@.心臓の話の所で見たように『心臓』と一口に言っても心臓は心筋・弁・血管など様々な部分から成り立っています。そしてそれらが各々の働きをまっとうすることによって心臓のポンプの働きは成り立っています。ですから、それらのうちどれか一つでも十分に働かなくなれば心臓はポンプの働きをまっとうできなくなってしまうことがあるのです。というわけで『心臓の病気』と一口に言っても心臓のどこが悪くなるかによって様々な病気があるわけです。以下に少し解説を加えます。
虚血性心疾患というのは心臓の血管である冠動脈の病気で、これは動脈硬化を基盤として起こってきます。「虚血」と言うのは聞きなれない言葉かもしれませんが血液の流れが乏しい状態のことです。動脈硬化が進んで冠動脈の内腔が狭くなってくると血液の流れが悪くなってしまいます。それによって心臓のどこかに血液供給が足りず酸素不足の部分が生じる病気が狭心症です。また、細くなった血管の内腔に突然血の塊ができて詰まってしまうとそこから先の部分には血液が全く流れなくなってしまいますから心筋の細胞は死んでしまうことになります。そのようにして起こる病気が急性心筋梗塞です。
心筋疾患というのは心臓の筋肉である心筋の病気です。「特発性」というのは原因不明という意味であり、「二次性」というのは何らかの他の病気が原因で起こってきたものであるという意味です。
弁膜疾患というのは心臓の弁の病気です。心臓には四つの弁があると話しましたが、それら四つの弁のうちどれか一つでも十分に働かなければ心臓のポンプの働きが障害される可能性があります。弁の働きというのは二通りあって、一つはきちんと開いて、血液をスムーズに流すことで、もう一つはきちんと閉じて、流した血液を漏らさないことです。ですから弁の障害のされ方により、「狭窄症」と「閉鎖不全症」という二通りの障害が起こり得るのです。
心膜というのは心臓の外側を覆っている膜のことで、ちょうど心臓を包み込んでいる袋のようなものです。心膜疾患とは、その心膜の病気のことです。心膜は、何らかの原因で炎症を起こすことがあります。
「先天性」というのは生まれつきという意味ですから、先天性心疾患というのはお母さんのおなかの中から生まれてきた時にすでに生じていた、心臓の構造上の異常、すなわち奇形のことです。
心臓にも様々な感染症が起こり得ますが、中でも重要なものに感染性心内膜炎と言うものがあります。これは心臓の部屋の内側を裏打ちしている心内膜に細菌がついて炎症を起こす病気です。この病気はいわゆる健常人に起こることはほとんどありませんが、ある種の弁膜症や先天性心疾患を持っている場合には起こし易くなります。
心臓にも腫瘍ができることがありますが、良性・悪性を問わず、心臓に腫瘍ができることは非常にまれです。
交通事故などによって胸に外傷を負ったときには、同時に、胸の中にある心臓にも何らかの損傷を生じていることがあります。
一つの病気ではないのですがよく耳にする病態名について少し解説をしておきます。
*「不全」というのは働きが十分でないという意味ですから、心不全というのは心臓の働きが十分ではない、すなわち心臓がポンプの働きを十分にできなくなった状態のことを言います。様々な心臓の病気が進むと、最終的にはこの状態になっていきます。
*不整脈という言葉はよく聞くと思いますが、これは心臓のリズムの異常の総称です。不整脈と一口に言っても、この中には何十種類もあるのです。その中には放っておいていいものから治療を要するものまで、様々なものがあります。
1.心臓の病気と一口に言っても、『心臓の病気』という一つの病気があるわけではなく、様々な病気がある。
2.それは、心臓が様々な部分から成り立っており、それらが各自十分に働くことによって心臓としての働きをまっとうできていることをあらわしている。
Dr.0910