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2002/05/14

19.ことは

 皆さんこんにちは。『Dr.0910』です。

 今日は、最初に皆さんに質問をしてみましょう。

 「98」「きゅうじゅうはち」と読みますね。
では、『九十八』と書いて何と読むでしょうか?

 正解は、『ことは』です。

 「えっ、どうして?」という声が聞こえてきそうですね。

 少し説明しますと、最近では少なくなりましたが、数を数えるときに「ひぃ、ふぅ、みぃ‥」と数えることがありますね。これは『やまとことば』と言って、日本古来の言葉なのです。日本語には漢字の読みに「音読み」と「訓読み」の二通りがありますね。これは、漢字が大陸から入ってきた文字である為に、漢字の定着とともに大陸での読み方である「音読み」も日本語の中に定着した為です。本来の日本語は、現代のいわゆる『訓読み』に受け継がれており、その大本である本来の日本語のことを『やまとことば』と言います。このやまとことばの歴史は非常に古く、縄文時代にはすでに話されていたと言われていますから、一万年以上もの歴史があることになります。そして、言葉自体もそれほど変わってはいないというのです。確かに、今でも日本の古典を読むと、やまとことばで書かれているところは、厳密ではなくても意味がわかります。

 例えば、古事記の冒頭を例に出しますと、次のように書かれています。

『天地初めて發けし時、高天原に成りし神の名は、天之御中主神、次に高御産巣日神、次に神産巣日神。この三柱の神は、みな独神と成りまして身を隠したまひき。』

 これは次のように読みます。

『あめつちはじめてひらけしとき、たかあまはらになりしかみのなは、あまのみなかぬしのかみ、つぎにたかみむすひのかみ、つぎにかみむすひのかみ。このみはしらのかみは、みなひとりがみとなりましてみをかくしたまひき。』

 そして、次のように解釈できます。

『天地創造のとき、高天原という高貴な場所にお成りになられた神の名は、天之御中主神、次に高御産巣日神、次に神産巣日神。この三柱の神は、みな単独でお成りになられた神であり、お姿をお隠しになっていらっしゃいました。』

 しかし、実は、次のようにもっと深い意味を表しているのです。

『この地球も含めた大宇宙創造の際、最初にいよいよ宇宙が広がり始める時に、宇宙はとても次元の高い状態にあり(高天原)、そこには、宇宙の中心を司る働き(天之御中主神)があり、さらに、陽的な活動力(高御産巣日神)と陰的な活動力(神産巣日神)が働いて、ものを産み出して(むすひ)行きました。それらはすべて、見えない世界の働きでした。』

 どうですか、皆さん。まるでビッグバン宇宙論に高次元科学をプラスしたようなイメージを彷彿とさせませんか?私たち日本人の祖先は、このような宇宙の本質を直観的に理解していたということなのです。そして、そのような本質を一つ一つの音の組み合わせで言葉として表しているのが『やまとことば』なのです。

 さて、それでは最初の『九十八』の話に戻りましょう。

 実は、やまとことばで数を数えていくと、
「一 二 三 四 五 六 七 八 九 十」は、
『ひと ふた み よ いつ むゆ なな や ここの たり』と読みます。
そして、これらの読みを短くして、一つの数字に対して一つの音を当てはめて
『ひ ふ み よ い む な や こ と』とも読みます。
さらに、「八」『は』とも読むので、『九十八』『ことは』と読めるのです。

 では、『九十八(ことは)』とは一体何でしょうか。

 言葉は口に出せば、音波です。また、字に書けば、それは光ですから電磁波です。いずれにしても、言葉は『波動』です。そしてまた、実は私たちの『思い』も波動なのです。電波に会話や音楽を乗せて遠くへ伝えるラジオを例にとってもわかるように、波動には周波数の異なる別の波動を乗せることができます。つまり、私たちは発する言葉に思いを乗せて伝えることができるということなのです。

 さらに、私たちが何か言葉を発した時、実は、そこにはその言葉以上の作用が働きます。例えば、ファーストフード店の店員さんのようにマニュアル化された「ありがとうございました」は、言われても何も感じませんが、本当に感謝の気持ちを込めて「ありがとうございました」と言ったなら、言われた方は、何だか嬉しくなったり、うきうきしてきたり、また清々しい気分になったりします。これは、「ありがとうございました」という言葉を通して感謝の思い以上の何かが伝わったのです。これが、『九十八(ことは)』についてもっとも身近でわかりやすい側面だと思います。

 そして、もっと本質的には、難しい話なので詳細は省きますが、『あいうえお』の五十音図から導き出される『かた』―『こと』―『もの』という世界観・宇宙観があります。『かた』とは、私たちが生活している世界のすべての現象や物の『型』が内包されている全体の世界であり、すべてが一つになっている高次元の波動的世界と考えてよいと思います。誤解を恐れず、敢えてわかり易く言えば『かみ』の世界です。『こと』というのは、全体から分かれた、個々の現象や物を背後で成り立たせている世界で、『かた』の世界より一つ次元が下った見えない世界のことです。そして、さらに一つ次元が下って個々の現象や物が実際に認識されるようになった世界『もの』であり、実際に私たちが生活しているこの現象界です。つまり、この宇宙は『かた』―『こと』―『もの』という秩序だった階層構造によって成り立っているというわけです。私たちの祖先である古代日本人は世界・宇宙の成り立ちを直観的にこのように理解していたのです。

 以上の宇宙観に則して、『ことは』の意味をやまとことばで解釈すると、『こ』『と』の意味は各々「個・固・凝る」「止・戸」という漢字に表されており、『こと』「全体から分かれて凝縮されてとどまっている状態」を表しているのです。そして『は』「波・葉・羽」という漢字に表されるように『広がるさま・波動』を表しています。つまり、『ことは』というのは、『こと』を成り立たせている波動のことであり、この宇宙の根本である『かた』の世界の波動のことを表しているのです。
 聖書のヨハネの福音書に「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった。」という記述がありますが、この記述は、お話してきた宇宙観による『ことは』の解釈とピタリと一致します。また、『九十八(ことは)』には『光透波』という漢字を当てることもあり、『ことは』の本質をよりわかり易く伝えていると思います。

 最後の方はちょっと難しかったかもしれませんが、お許しください。できればあまり難しく考えずに、言葉には相手に対する思い以上に、もっと普遍的な思いや祈りを乗せることができるのだと理解して頂ければ幸いです。

 さあ、皆さん。今日からは、話す言葉に、愛を乗せて、平和への祈りを乗せて、『九十八(ことは)』を伝えて行きましょう。

 すべての魂が輝きますように。

平成14年5月14日

Dr.0910

目次 18.地球を守る次世代に送るメッセージ 20.三周年

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