[TOPへ][学びの道へ][気づきの小箱へ][いのち][Eメール]

2006/08/15

35.

 皆さんこんにちは。『Dr.0910』です。

 先日、先の戦争を舞台にしたテレビドラマを2本見ました。再放送でしたが、何度見ても胸が痛みます。本当に、もう戦争など起こしてはいけませんね。

 しかし、アフガニスタン、イラク、パレスチナと、今も世界のどこかで争いが起こっています。そして、現地には、自由を奪われ、生命の保障も無く不安と恐怖の中で暮らしている多くの人たちがいます。

 私たちに、何かできることはないでしょうか?

 日々の暮らしにがんじがらめになっている私たちには、戦禍に苦しむ人たちに、直接手を差し伸べることは不可能かもしれません。でも中には、現地に赴いて救援活動を行ってくださっている人たちがいます。組織を作って平和な世界を実現させようと活動してくださっている人たちもいます。直接の活動ができない私たちにも、それらの人たちの後方支援はできるはずです。

 後方支援って?

 直接活動している人たちに募金をするのも一つの手段ですね。でも、募金は、私たちの生活の中では点のような出来事です。募金をすることはとても大切なことですが、残念ながら、免罪符のように思われている面もあります。結局、戦争は遠い国で起こっていることで、自分と直接関係があるわけではなく、積極的に接点を持とうとしている人しか何かをすることはできないのだと思いがちです。

 でも、私はそうではないと思うのです。私たちは、平和について、もう一歩踏み出して捉える必要があると思うのです。

 皆さん、争いのない平和な世界を想像してみてください。

 その世界では、誰一人としてその人の存在をないがしろにされることはないのです。皆自由に生き、人と人との絆が保たれ、不安や恐怖のない世界なのです。

 人は絆を断たれたとき、不安や恐怖を覚えます。その不安や恐怖が高じると、他人に絆を強制するようになり、束縛が生まれ、自由が失われます。結局、そのような行為から真の絆が生まれるはずはなく、かえって、絆は断たれて行き、不安や恐怖は増すばかりとなります。その結果、争いが起こり、自由はますます奪われ、不安や恐怖だけではなく悲しみと憎しみが生み出され、争いは更なる争いを生み出して行くことになるのです。

 この悪循環は根本から絶つしかありません。つまり、人と人との『絆』を回復させるのです。絆を難しく考えることはありません。私は以前、『いのち』第七章前編の中で、次のように書きました。

“私たちは一人では生きて行けません。『人間』とは「人」に「間」と書きますが、人と人との間ができるには、最低二人いなければなりません。つまり、私たちが人間であるということは、常に他者との関連性の中で生きているということなのです。親子、兄弟、夫婦、友達など、基本的な他者との一対一の関係がネットワークのように広がっているのが人間社会なのです。”

 上記の文章の中で言っている“基本的な他者との一対一の関係”『絆』です。普段は何の意識もしていない家族との会話が絆です。職場での仲間とのやり取りすべてが絆です。仕事における客や患者とのやり取りもすべて絆です。自分が他者に対して行うすべての言動が絆です。さらに言葉や行為として表れないちょっとした気遣いや祈りも絆です。私たちの言葉や行為の背後には、必ず思いがありますから、真の絆とは、心と心のつながりのこと、私たちが他者に向けるすべての思いが『絆』なのです。

 だから、絆を断つということは、他者とのつながりを断つということです。相手を認めなかったり、拒否するということ、最も酷いのは、無視することです。

 そして、平和への道は、そのような絆を断つ行為を止めること、私たちの身近な絆を一つ一つ暖かいものにしていくことから始まるのです。相手を包み込んでしまうような暖かい思いを向けるということです。わかり易く言えば、「仲良し」になることでもあります。この世の中は複雑系なのですから、物理的に遠く離れていて全く関連性がないように思えるところへも、“風が吹けば桶屋が儲かる”の例えのように、平和へと向かうポジティブな影響を与えられるはずです。これが本当の後方支援であり、私たちの日常生活に密着していて誰でもできる草の根の平和活動です。

 皆さん、平和活動は一部の人たちが行っているものではありません。まず自分が平和な人間になり、日常接する人たちと仲良くできるようになること、それが私たちの平和活動です。そして、そのような活動は、いつの間にか波紋のように広がって、世界に影響を及ぼすこともできるはずです。

 さあ、今すぐ一緒に始めましょう。

平成18年8月15日
61回目の終戦記念日、心の終戦記念日に、平和への祈りを込めて

Dr.0910

目次 34.七周年 36.架け橋

[TOPへ][学びの道へ][気づきの小箱へ][いのち][Eメール]