受精は、精子と卵子が合体するとてもダイナミックな過程であり、まさに生命の神秘を感じさせてくれます。そして、この受精も切れ目なく連続した過程であり、どこにも境目はありません。
受精する精子と卵子は当然生きています。と言うことは、受精の前から命は始まっていることになります。精子と卵子、二つの命。二つの命が一つになる。それが受精です。
精子と卵子はどこから来たのでしょうか?
精子は父親の体からやって来ました。卵子は受精の少し前まで母親の体の一部でした。だからそれぞれが父親の命、母親の命です。両親の命が自分の命となるのです。
しかも、実は精子も卵子も細胞としての元をたどると、「始原生殖細胞」という精子あるいは卵子に成るよう運命づけられた細胞にたどり着きます。そして、この「始原生殖細胞」は、両親がまだ胎芽だった妊娠4週目頃からその体内に存在していたのです。つまり、自分の二人の祖母の胎内にすでに自分の命が存在していたのです。自分の両親の命として。
と言うことは、自分の命は、両親の命と完全に重なっています。両親が生まれてからの人生を実は自分も両親と一緒にたどって来ているのです。
そして「始原生殖細胞」もさらに元をたどれば両親それぞれの受精卵にたどり着きます。と言うことは、自分の命は四人の祖父母の命とも連続しているのです。