『受容』とは、入力された情報を取捨選択して次の「思考」へと送るプロセスです。私たちの脳には五感を通して情報が入力されるわけですが、それらの情報がすべて受容されるわけではありません。私たちが五感を通して受け取る情報は膨大な量に上ります。それらの情報をすべて通して「思考」過程に送っても、そのほとんどは思考の役に立たないでしょう。それどころか、返って思考の妨げになってしまうでしょう。しかし、入力情報を「思考」過程に必要なものに絞り込んでおけば、「思考」過程をスムーズに行うことができます。このように「受容」過程というのは、情報を取捨選択する、言わば“ゲート(門)”の役割をしているのです。

 例えば、本を読んでいる時、通常、私たちは1ページの上に数十行もある文字列を1行ずつ目で追いながら読んでいきます。しかし、実際の視野にはページ上のすべての文字列が映っています。それどころか、本の外側の背景も映っているはずです。しかし、私たちは読んでいる文字列以外はほとんど意識しません。もし、読んでいる文字列と同等に他の文字列が私たちの意識に上るとしたら、おそらく、私たちは本を読むことができないのではないかと思います。(本のページ全体をチラッと見るだけで内容を理解してしまう速読法がありますが、これは通常の本の読み方とは異なるものです。)

 また、うるさい人込みの中で誰かと会話をする時も、種々雑多な音が耳に入ってくる中から、相手の言葉を拾って聴くことができます。

 これらは、『受容』過程における情報の取捨選択が行われる為だと考えられます。

 次に『記憶・学習』とはどのようなプロセスなのでしょうか?

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