『記憶・学習』とは、単純には情報を貯蔵するプロセスだと言えますが、貯蔵されている情報は「思考」過程において参照される為にあるわけですから、「情報を貯蔵したり、必要に応じて引き出したりする過程」と言った方が適切だと思います。つまり『記憶・学習』には、『情報を貯蔵する』側面と、『情報を必要に応じて引き出す』側面があるのです。さらに、貯蔵されている情報は、「思考」だけではなく「受容」や「表出」の過程においても参照されているのではないかと思います。

 ここで、『記憶』『学習』はどう違うのでしょうか?

 「記憶」というのは、言わば思考の為の“材料”としての貯蔵物であるのに対して、「学習」とは、材料が複雑に組み合わされた結果、将来的に同様な情報が入力された時に、思考過程においてすぐ参照できる、あるいは、すぐ実行できるようになっている、言わば“製品”としての貯蔵物であると言えます。

 例えば、2×3=6 という掛け算を例に取ると、「2」「×」「3」「=」「6」と言う数字と記号の意味は誰でも判ると思いますが、このように各々を別個の情報として貯蔵しておくことが「記憶」であり、2×3=6 を「にさんがろく」と一まとめにして貯蔵しておくことが「学習」と言うわけです。さらには、「○×△=□」として、○や△の中に任意の数字を当てはめることにより□という結果が出るという計算式として学習することにより、広く応用が利くようになります。これはちょうどコンピュータのアプリケーションソフトのようなものです。このように一まとめになった情報同士をさらに組み合わせて行くことにより、例えば、22×33=726 という計算ができるようになり、さらに学習を重ねて行くことができます。

 このように、『記憶・学習』された情報を参照するということは、ただ単に過去と現在を照らし合わせて、同様のところや異なるところを見つけ出すことではなく、『過去に習得したものを現在に応用する』ということであるとわかります。

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