ここですぐに気づくのは、外部インターフェースを「受容」に対応させた場合、コンピュータの「受容」プロセスでは情報は取捨選択されないのではないかということです。キーボードやマウスの入力情報は取捨選択されることはありませんが、例えば、モデムに電話回線を繋げてインターネットに接続されている状況を考えてみましょう。もしアンチウイルスソフトがインストールされていれば、メールの受信時にウイルスを駆除できます。また、ファイアウオールソフトがインストールされていれば、インターネットを介した不正なアクセスをブロックできます。これらは一種の情報の取捨選択です。ですから、コンピュータの「受容」プロセスに情報の取捨選択がないわけではありません。しかし、このように考えてみると、情報の取捨選択という「受容」プロセスは、ハードウェア的なものではなく、ソフトウェア的に行われるものだとわかります。
もう一つ、ハードディスクを「記憶」に対応させた場合、「学習」はどこへ行ってしまったのかということです。ハードディスクは情報をそのまま記録する装置であり、それらの情報を組み合わせて一つの情報として記憶しておくようなことはできません。しかし、例えば、パソコンではハードディスクに保存してあったデジカメ写真を画像編集ソフトで編集して再び保存することができますが、これは一種の「記憶・学習」過程と見ることができます。そして、この過程も「受容」の場合と同じく、ハードウェア的に行われるのではなく、ソフトウェア的に行われるものです。
これまで、人間の認知機能を「受容」「記憶・学習」「思考」「表出」の4つに別け、入力されてから出力されるまでという情報の流れの面から、これら4つを『プロセス(過程)』と呼んできましたが、上記のように見てくると、これら4つはそれぞれ単独な『機能』と理解した方が良さそうです。4つの機能が連携し合って認知機能を構成しているということです。