ですから、貯蔵庫の中に押さえ込まれたエネルギーが溜まってくれば、それを押さえ込むエネルギーも大きくなり、結局、他の心の働きに使えるエネルギーが少なくなってくるわけです。その中で『知』『情』『意』を働かそうとしますが、『情』と『意』の働きは封じ込められ、すでに感情は乏しく、意志は弱く、無感動・無関心の傾向となり、『知』の働きばかりが表に出て来ます。このような状況では、人は受け身的に行動することになります。つまり、常識や規律に縛られたり、「○○のため、自分はこうしなければならないんだ」という建て前を自ら作ったり、「(誰か)に言われたから」などと自分以外の理由をつけて行動するのです。私はそのような行動を『やらされ体験』と言っています。
しかし、使えるエネルギーがさらに少なくなると、『知』の働きもやがては低下することになります。そうなると、視野が狭くなり、他人を受け入れられず、物事を深く考えず、これまでのパターンに固執する、というような具合になります。つまり、やがて私たちの心の働きすべてが低下してしまうのです。