「他人から見ていい人」になろうとすることは、実は、とても厄介なことです。なぜなら、基本的に、他人が自分をどう評価しているかということを正確に知ることはできないのですが、「他人から見ていい人」になろうとすると、自分の評価基準が他人にあるわけですから、是が非でも他人が自分のことをどう思っているかを知らなければなりません。その結果、他人の自分に対する言動・行動にとても敏感にならざるを得ません。また、人間の価値観というのは人それぞれであり、ある人にとってのいい人は、別な人にとってはいい人ではないこともありますから、「他人から見ていい人」になろうとしているうちに、必ず矛盾が出てくることになります。そして、そのような矛盾は決して解決することはなく、「他人から見ていい人」になろうとしている以上、どんどん膨らんで行くのです。

 結局、「他人から見ていい人」になろうとすることは、“いい人”を装うことであり、自分の本心を押さえ込み、他人の一挙手一投足に振り回されることになります。そして、そのような行為を続けるうちに、心のエネルギーを消耗し、やがては疲れ果ててしまうのです。現代日本人には、そんな人たちが多いような気がします。おそらく自分では気づかないうちに無意識でそういう行為を行っている人がほとんどではないでしょうか。なぜなら、回りを見ると“みんな”がそうだからです。

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