「エントロピー(増大)の法則」は高校の物理で習ったかも知れません。でも、聞いたことがあっても何の事だかわからないという方も多いと思います。また、教科書的な話では、数式が出てきて抽象的な話になって理解しづらく、私たちにとって何の関係があるのかわからなくなります。私たちは専門化ではないので、大雑把ながらも理解できるように、簡単な比喩を用いてお話ししましょう。

 外部から熱の出入りがないように断熱された容器の中に熱湯と氷を入れるとどうなるでしょうか。当然ですが、氷は溶けて、全体的に均一なぬるま湯になります。しかし、このままぬるま湯を放置しておいても、断熱された容器の中で熱湯と氷に分かれることはありませんね。この「熱は常に高い方から低い方へ移る」という、私たちでも経験的に理解していることは、「熱力学の第2法則」と言います。

 そして、この熱力学の第2法則をエントロピーと言う概念で説明しているものが「エントロピー(増大)の法則」なのです。つまり、「熱湯と氷」よりも「全体的に均一なぬるま湯」の方がエントロピーは増大しており、「外部とエネルギーや物質の出入りがない系(閉鎖系)のエントロピーは常に増大する(減少しない)」のです。

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