しかし、先に、力について言及した『情報』はこのような意味ではありません。どのように違うのかを、先の子供たちの例を用いて見てみましょう。
路上で遊んでいた子供たちには「おじさんがやって来て指をさしたら、その方向へ向かって全速力で走って行くように」という情報が伝えられていました。この場合、誰かから子供たちに情報が“伝えられた”わけですから、私たちが日常使っている『情報』とそう変わりないように思えます。しかし、この場合、“伝えられた”ということは重要なことではありません。本質的なことは、この情報の内容が、子供たちの行動として表されるべき内容であるということです。これは「伝達されるべきデータ」ではなく『表現されるべきデータ』であり、私たちが新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネットなどを通じて入手し利用する“知識”としての情報とは本質的に異なったものなのです。