先にお話ししましたように、私が初めて体外離脱について知った時の名称は、「幽体離脱」でした。私はこの名称を知った時、「幽体って何だ?」と思いました。幽体の“幽”は幽霊の“幽”です。これは何か関係があるのでしょうか?
その疑問に対するヒントは、当時、読んだ本に書いてありました。何という本だったのかはもうわかりませんが、そこには、いわゆる見えない体は実は一つではなく、幾つかの見えない体が重なっているという内容が書かれてあり、模式図が載せられていました。その図には、私たちの肉体を最も外側として、そのすぐ内側に「幽体」、そのさらに内側に「霊体」、そしてさらに奥の中心部に「魂」と書かれてあったのです。
また、当時、「意識」という言葉に妙に関心が湧き、とある大きな本屋で本を物色していたところ、ある書棚に「意識」という言葉がタイトルに書かれてある本を発見しました。しかもそれだけではなく、その棚には、私の興味をそそるような本ばかりが並んでいたのです。その書棚の一番上を見てみると、そこには「精神世界」というラベルが貼られていました。私は「“精神世界”?‥そんなジャンルがあったのか‥こっ、これだ!」と思いました。そして、その棚にある本を片っ端から見ていくうちに、いわゆる見えない体も含めた人間の構造について書かれてある本を何冊か見つけました。それらの本の多くは外国の訳本で、ある共通の学問分野の本であることがわかりました。しかし、その学問分野を私はそれまで聞いたことがありませんでした。それは『神智学』です。