それは、おそらく、自分が“なる”べき100%の理想像を追い求めているからだと思います。その理想像から現在の自分自身を見るから、当然、未熟者に見えてしまうのです。そして、「私は、まだまだだわ‥。」とか、「こんなんじゃ、ダメだ‥。」となってしまうのです。自分で自分を評価する時に、常にこのように理想像から見ていたら、自分が未熟者に映ってしまうのは当たり前です。どこかに100%の理想的な人間がいて、今の自分はそこには全く手が届いていないのだから、今の自分の考えや行いは、未熟であり、不完全なのだと思ってしまうのです。だから、いつまでも自分に自信を持つことができないのです。カリスマ信奉は、このような理想像をカリスマにダブらせているのです。そして、そのようなカリスマと思想や行動を共にすることによって、自分自身も理想像に近づいているように思って満足するのです。
現代日本人は、小さい頃から100点満点を目指して教育されています。それは何も、小学校に入ってテストをするようになってからというわけではありません。幼児の頃から、親が理想とする子供像を押し付けられて育っています。常に、理想的な状態を念頭において、それを目指して“がんばる”ことを強いられて育っているのです。そして、そのような理想像に近づくように努力することは、良いことであり、そうするのが当たり前であるように、世間では思われています。しかし、先にお話ししましたように、理想像から自分を見ている限り、現在の自分を100%肯定することはできません。常に自分は未熟者に映ります。これを現代日本人は“ダメな子”と言います。そんな教育やしつけを小さい頃から繰り返し繰り返し受けていれば、自分に自信が持てなくなるのは当たり前です。これは一種のマインドコントロールです。しかも、国を挙げて、世を挙げての、途方も無く巨大な規模の。戦後、日本人は自信を失ったと言われていますが、それは何も、先の戦争で敗れたからではなく、以上のようなことの結果なのではないでしょうか。