もし、自分に自信のない人が、自分の中に空いた穴の存在を潜在意識(無意識)に抑圧してしまったら、おそらく、それとは全く反対の行動をとるでしょう。なぜなら、抑圧してしまった自信のなさが、わずかでも意識上に上って来ないようにしなければならないからです。反発する力を押さえ込むには、その力の方向とは正反対の方向に押さえ込むのが最も効率が良いのですから、“心の中の力学”においても同じだと思うのです。自信たっぷりに断定的に発言するカリスマというのは、本当は、そんな器の小さな人物なのではないでしょうか。

 驕れるほど自分に自信を持っている人とそんな人物に頼らなければならない人、一見相反する人たちの心の裏には、いずれも自分に対する自信のなさがあるのです。

 でも、このような人は特別な人たちなのでしょうか?

 私にはそうは思えません。極端ではないにしろ二つのタイプのどちらかに偏っている人は、現代日本人には多いように思えます。つまり、現代日本人には自分に自信の持てない人がとても多いように思うのです。

 人々は、なぜそんなに自分に自信が持てなくなったのでしょうか?

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