皆さんは、ラジオにおける同調の仕組みをご存知でしょうか?

 同調には、先に音叉の例でも紹介した「共鳴」の原理を使います。実際、ラジオの中に音叉は入っていませんが、コイルとコンデンサーという電子部品が関わっています。導線を芯にくるくると巻きつけたものを「コイル」と言い、直流は良く通しますが、交流は通し難く電磁エネルギーとして溜め込むという性質を持っています。また、電気を通さないもの(絶縁体と言います)を導体で挟んだものを「コンデンサー」と言い、交流は良く通しますが、直流は通さず電気エネルギーとして溜め込むという性質を持っています。このように直流と交流に対して正反対の性質を持っているコイルとコンデンサーを、直列、あるいは、並列に繋ぐと、交流電流に対して固有周波数を持つようになるのです。つまり固有周波数と同じ周波数の交流電流に対して、通し易く(直列)、あるいは、通し難く(並列)なるのです。

 放送電波がラジオのアンテナに届くと、電波と同じ周波数の微弱な交流電流を生じます。この交流電流をコイルとコンデンサーで構成する同調回路に通します。通常はコンデンサーの容量を変化させて同調回路の固有周波数を調節し、アンテナから流れてきた交流電流の周波数に一致させて、ラジオの回路へ最大限流せるようにします。このようにすると、他局の放送電波は同調回路の固有周波数に一致しないので、ラジオの回路まで電流が流れていくことはありません。これが、ラジオの同調の仕組みです。

 ここで大事なのは、実際、ラジオには様々な周波数の電波が届いているけれども、中に取り込んでいるのは、自ら同調した電波だけなのだということです。

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