2007/6/30 uploaded
医療、介護、福祉など、苦痛や悩みを持った人と接することの多い分野では、相手の心に共感することが大事だとされています。例えば、今まで自立できていた人が、脳梗塞を発症して右半身麻痺になり、人の手を借りずには生活できなくなったとします。この人があなたの前で「この右半身が動かなくなってね、本当に困るよ。」と話したとします。その時、あなたは「右側は利き腕だから、ものを書く時も、食事の時も、何をするにも不便で困るだろうな。」と思うかもしれません。でも、この人の苦しみや悩みはそれだけではないのです。今までなんでも一人でしていたのに、今では何をするにも人の助けが必要になったことから、「自分はダメだ」と自信をなくしているかもしれません。あるいは、「恥ずかしい」と思っているかもしれません。また、いつも介護してくれる家族に対して「迷惑をかけて申し訳ない」と思っているかもしれません。また、「こんな状態でこの先どうなるのか」と不安に思っているかもしれません。右半身麻痺だから不便だろうというのは、単なる知識です。頭で理解したことにしかなりません。共感とは、相手の言葉の背後にある、言葉にならない心情をも受け取ることに他なりません。そしてそれは、相手の心と自分の心との“共鳴”によって成り立つのだと、思うのです。私は、心は波動だと思っています。