[TOPへ][学びの道へ][気づきの小箱へ][いのちへ][Eメール]

心臓に学ぶ体の話

罫線バナー

ここでは、今までお話ししたような事柄から
私が学んだ「体の話」をお話しします。

このページの目次

  1. 体には秩序がある
  2. 全体から部分へ、部分から全体へ
  3. 体はいったい何から成っているのか?
  4. 体からのメッセージ

罫線バナー

第一章体には秩序がある。

 体はいくつもの臓器の集合体です。もっと細かく見ていけば、六十兆個もの細胞の集合体であり、細胞の種類もたくさんあります。そして、それらの細胞あるいは臓器は各々勝手に働いているわけではなく、ある『秩序』のもとに、統一のとれた働きを為しています。  まず体は、小さいものが集まってより大きなものを構成していくという「形態的な秩序」から成っています。すなわち、 細胞 組織 臓器 という流れです。そして、この流れの各々のレベルにおいて「機能的な秩序」が働いています。それらについて少しお話ししましょう。

@ 細胞

 すべての細胞一つ一つの中にその人の「遺伝子(DNA)」が全部丸ごと存在しています。遺伝子全部の中からその各々の細胞に関連した部分だけが発現します。発現とは、遺伝子のある部分が働いてその中に含まれていた情報が細胞の機能としておもてに現れることです。この遺伝子の発現が細胞の秩序を司っています。

A 組織

 同種の細胞の集団が組織です。すなわち、心臓で言えば、心筋細胞の集団は心筋組織です。また、心臓には心内膜組織や心外膜組織、脂肪組織なども存在しています。これらは同種の細胞の集団なので、発現している遺伝情報は同じであり、細胞同様、遺伝子が秩序を司っているとして良いでしょう。

B 臓器

 異なった幾つもの組織が集まって特徴的な機能を果たすものが臓器です。例えば、先にもお話ししたように、心筋組織・弁膜組織・心内膜組織・心外膜組織などが集まってポンプの働きを為しているのが心臓という臓器です。  臓器の秩序の根本には、各々の組織における遺伝子の発現があるのですが、それのみではその臓器の特徴的な機能の秩序を司ることはできません。例えば、心臓においては、心筋組織や弁膜組織がただ単に存在していたのではポンプの働きは為されません。刺激伝導系が心臓の動き全体のリズムを取って始めてポンプの機能が為されるわけであり、その意味で心臓のポンプ機能は刺激伝導系が秩序を司っています。

C  :

 心臓がいくら血液を送り出しても、その血液を体の隅々まで行き渡らす血管がなければ、さすがの心臓も用を為しません。すなわち、心臓は血管と共に働くことによってポンプの働きを全うしているわけで、心臓と血管を合わせて循環系を構成しています。このように、系というのは解剖学的に連続していたり、機能的に関連性のある、幾つかの臓器の集合であり、特徴的な機能を全うしています。循環系の他には、消化器系・呼吸器系・神経系・内分泌系・血液系・泌尿器系・生殖器系・筋骨格系などがあります。
 これらの系の秩序とは、まさにその系の特徴的な機能そのものであり、循環系でいえば、血液の流れそのものにより秩序が保たれているのです。つまり、心臓は戻ってくる血液があるから送り出し、血管は送り出される血液があるからそれを送り届け、その結果また心臓に血液が戻ってきてグルグルと循環していくのです。消化器系なら、口からとった食物が食道・胃・小腸・大腸と進んでいくに従い、だんだん消化されそして吸収されていくというこの流れそのものが秩序であり、かつ秩序を保たせているのです。これらの秩序は、各々の臓器が自らの働きを精一杯行なうことから生まれているのです。

D  :

 すべての臓器・系から構成されているのが体です。各々の系は独立して機能を営んでいますが、完全に独立しているわけではなく相互に影響し合っています。例えば、心臓は体の需要に応じて心拍出量を変化させますが、これは、自律神経系によって調節されています。また、心拍出量の変化は臓器組織への血液供給に直に反映し、循環系は他の系に影響を及ぼしています。しかし、すべての系に影響を及ぼすということだけではなく、それらの機能を調節しているという意味で神経系は体の秩序を司っていると言ってよいと思います。特に、自律神経系は体の秩序維持をその働きとしていると言えると思います。

このページの目次へ


第二章全体から部分へ、部分から全体へ

以上の話から、全体から部分へ、あるいは、部分から全体へと影響が出るのは当たり前だということがわかると思います。 例えば次のようなことです。

全体から部分へ

心臓が体の要求に応じて心拍出量を増すのは、体全体から心臓という部分に自律神経系を介して影響が及んでいるからです。

部分から全体へ

心臓は心拍出量の変化を循環系を介して血液供給量の変化として全身に伝えています。

 このように見ると、「全体から部分へ」「部分から全体へ」というのは、ちょうど裏表の関係にあり、各々独立して存在しているのではないということがわかると思います。全体から部分への影響は、エコーのように部分から全体へと反映し、そしてまた、全体から部分へと影響し‥‥と次から次へと限りなく続いて行き、一体化しているのです。なぜなら部分が全体を構成しているのであり、部分と全体が分かれて存在しているわけではないからです。一つなのです。

このページの目次へ


第三章体はいったい何から成っているのか?

『人間の体は何から成っているか?』

 この問いにあなたはどう答えますか?例えば、「細胞から成っている。」とか、「蛋白質から成っている。」とか、「体の約70%は水でできている。」とか、あるいは、もっと細かく「炭素・水素・酸素・窒素・ナトリウム・カリウム・カルシウム・リンなど」という元素名を上げる人もいるかもしれませんね。

 私だったらこのように答えます。

『人間の体は、水・空気・食べ物から成っている。』

と。

 すなわち『人間の体は、体の中に取り込んだものから成っている。』のです。これは当たり前のことです。この当たり前のことから考えると、体の中にどんなものを取り込んだかによって、どんな体になるかが決まってくることがわかります。例えば、人間の体の約70%は水でできているのですから、汚染された水を飲んでいればそれだけ汚染された体になります。また、農薬などの化学物質をたくさん使って作られた食べ物を食べていれば、それだけ化学物質に汚染された体になるわけです。

 『水・空気・食べ物』とは、言い換えれば『自然』のことです。私たちは自然を自分から離れて存在するものと思っていますが、実はこのように私たちは自然と常につながっており、自然の一部なのです。自然を汚せば自分自身を汚すことになり、自然を破壊すれば自分自身を壊していくことになるのです。

このページの目次へ


第四章体からのメッセージ

 私たちの心臓は生まれてこのかた一度も止まらずに働き続けてくれています。このように、私たちの体は、生まれてこのかたずっと休むことなく、いつも文句も言わず働き続けて、私たちを生かし続けてくれています。このことは厳然たる事実なのですが、私たちはふだん体のことはほとんど気にしていないので、このことにはなかなか気づきません。

 体はうそをつきません。体はいつも私たちの要求に最大限に応えてくれます。もし応えられない状況でも、けなげに応えようとしてくれます。そして応えようとしても応えられないとき(予備力を越えたとき)に症状が出ます。そうして私たちに限界を教えてくれるのです。(⇒ 心臓に学ぶ病気の話その9〜11

 症状や病気は文句ではなく、私たちが人生を見直し、軌道修正できるように学びを与えてくれる体からのメッセージなのです(⇒ 心臓に学ぶ病気の話その13)。私たちが症状とか病気と呼んでいるものを通して、私たちは体と対話できるのです。

 「体はいったい誰の為にあるのでしょうか?」それはもちろん『自分の為』です。私の体は私の為にあり、あなたの体はあなたの為にあるのです。体は私たちが『人間として』この世で生きて行く為にあるのです。

 「体はいったい誰にメッセージを送っているのでしょうか?」それは当然、『あなた』です。あなたの体はいつもあなたにメッセージを送ってくれています。あとはあなたがそのメッセージに素直に耳を傾ければいいのです。

Dr.0910

このページの目次へ


目次 心臓に学ぶ病気の話 心臓に学ぶ人間の話

[TOPへ][学びの道へ][気づきの小箱へ][いのちへ][Eメール]