そして、そのような「ありのままの自分を隠して、いわゆる“いい人”になろうとする」行為は、現代では子供の頃から行われているようです。それは当然のことでしょう。子供は無垢の状態で生まれてきます。その無垢の状態の子供にさまざまな色や飾りをつけて行くのは、親をはじめとした“大人”たちなのですから。現代の子供たちは必死になって“いい子”になろうと、“いい子”に見せようとしているのです。

 「でも、今どきの子供たちを見ていると、とても、いい子になろうとしているようには見えないなあ。かえって悪い子になろうとしているようにも見えるなあ。」と思われる方がいらっしゃるかと思います。確かにその通りだと思います。でも、その子たちもかつてはいい子になろうとしていたはずなのです。でもいい子になれなかった為に、“いい子”そのものを否定しようとしたのです。だから悪ぶってしまうのです。そのうちそこから抜け出せなくなるのです。なぜなら、自分の周囲を見回すと“みんな”がそうだからです。ちょっとでも素直になろうとすると、「いい子ぶるな」と周囲から責められるのです。自分ひとりが周囲から浮くのはとても怖いことなのです。だから、「気がつかないうちに自分は周囲から浮いてしまうかもしれない」という不安が心の中を大きく閉めてしまうようになり、そのようなことのない様にいつも周囲に気を配っていなければならなくなります。そして、たとえ本心ではしたくないと思ったとしても、周囲に合わせなければならなくなるのです。それだけでも子供たちにとっては大変なエネルギーを使っているはずです。

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