被害者意識を持たないように注意して、できるだけ、思い出す記憶をありのまま体験してみてください。辛いこともありますが、本来人間は辛いことを体験できるようにできているのですから、おそらく辛さを体験するのにも意味があるのだと思います。現代人は辛さからすぐ逃げようとしますが、辛さを体験しなければ見えてこないこともあるはずです。だから、逃げずにありのままを感じてみましょう。感じているうちに辛さはだんだん薄れて行くはずです。
どうしても被害者意識が出て来るようならば、無理せず、その気持ちもただ感じてみることにしましょう。そのうち余裕が出てきたなら、その時の親の状況に思いを馳せてみてください。おそらく親もその時はそうするしかなかったはずです。実は、親も子供の頃、同様な体験をしているはずなのです。私たちは、親から子へ、子から孫へと、お金や土地などの目に見える遺産だけではなく、もっと身近でもっと重要な、心の中のしこりのようなものも渡してきているのです。なぜなら、無垢な状態で生まれてきた子供に色をつけるのは大人、特に親です。そして、大人は自分に付けられた色しか子供に付けることができないからです。
でも、たぶん自分に付けられた色を認識できたなら、自分で消すことはできるのだと思います。それが「受け皿」を捨てることなのではないかと思います。