2004/11/27 uploaded

 虫を殺すことに何のためらいも無くなった私でしたが、そのことにもやがて転機が訪れます。

 小学5年生のある日、学校の近くにあった大きな石をひっくり返すと、そこにはありんこが巣を作っており、たくさんのありんこが出てきました。それを見た私は、いつものようにありんこを踏んづけ始めました。無数のありんこがぺしゃんこになりました。でも私は平気でした。ただ、その日はいつもと違い、近くで私を見ている同級生が何人かいました。神様なんていないんだから、当然みんなも同じだろうと思っていたところが、一人の女の子が、私に向かって「止めなさい。」と言ったのです。私は「余計なお世話だ。」と言いながら、ありんこを踏んづけました。すると、その子は「どうしてそんなことをするの。かわいそうでしょ。ありんこだって命があるのよ。」と言いました。その言葉を聞いた時、私は、はっと我に返ったような気がしました。忘れていた記憶がよみがえってきました。幼い頃聞いた「蜘蛛の糸」の話から、私は、どんな小さな虫にも命があることを知ったのでした。それが、私の中から神様がいなくなるとともに、忘れ去られてしまっていたのでした。

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