当時の私は、『小学3年生』を興味のあるものから読んでいき、興味のないものでも読む時間があればすべて読んでいました。野口英世のことは全く知りませんでしたから興味がなかったのですが、時間があったので読んだのです。前編を読んでみてもそんなに感動しませんでした。それどころか、野口英世は貧しくて教科書はおろかノートも買えませんでしたが、授業で習ったことはすべて覚えているという、いわゆる天才でしたから、返ってライバル心が湧いて感動なんかするはずもありませんでした。

 ところが、前編を読んだ次の日の国語の授業で、最近読んだ本の読書感想文を書かされたのです。私は『小学3年生』しか読んでいませんでしたので困ってしまいました。それで仕方なく、前編しか読んでいない野口英世の話について感想文を書いたのでした。

 それからしばらく野口英世のことは忘れていたのですが、ある日先生から、読書感想文が何かの賞に選ばれたことを伝えられました。その時私は、「えっ、前編しか読んでいないのに?何か聞かれたらどうしよう‥。」と思いました。(別に何も聞かれるわけないのに‥。(^_^;)それで、野口英世のことをちゃんと知っておかなければいけないと思い、その日から、私の中では野口英世が俄然クローズアップされることになったのです。

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