そのうち気づくと、私たち(浮かんでいる私と立っている私)の前に、車内販売のお姉さんがカートを押して出て来ていました。一人の中年のおじさんが、なにやら話しかけたところ、そのお姉さんは怒ったような口調で言葉を返していました。二人はまるでけんかをしているようなやり取りで、おじさんが「アイスキャンデーあるかい。」と聞いたところ、お姉さんは「アイスキャンデーはありません。」と言ったりしていました。私は「こんなに混んだ人ごみの中でアイスキャンデー食べるのかよ。」と思っていました。最終的におじさんが缶ビールを買って二人の会話は終わりました。そして、車内販売のお姉さんは、すごい人ごみの中を、カートを押し進め始めました。
その後、私はその場を離れました。“その場を離れた”というのは、列車の外に出て行ったのです。空中に浮かんでいましたから、そのまますーっと列車の壁を通り抜けて、どこかへ飛んで行ったのです。どこへ飛んで行ったのか、よく覚えていませんが、上空に上がって行ったような気がします。