このように考える理由には二つあります。
一つは、アイソレーションタンク体験者の報告です。アイソレーションタンクというのは、人間の感覚を遮断できる装置です。タンクの下部には比重が人体より重い液体が入っており、体が浮くようになっています。これにより、体表面の体性感覚(痛・触・圧・温・冷)が遮断されます。タンクの蓋を閉めると、真っ暗になり、一切の視覚と聴覚が遮断されます。残るのは味覚と嗅覚と深部感覚ですから、何も食べず、臭いも無くし、リラックスして体を動かさなければ、人間の五感をほぼ遮断することができるのです。
25年位前に、「アルタード・ステイツ」というタイトルの映画があったのですが、あの映画の中では、変性意識状態(altered states of consciousness)へ導く為の手段として使われていました。映画をご覧になった方でしたら、すぐにわかると思います。(うーん、年がバレる‥。(^_^;))
このアイソレーションタンクの体験報告で興味深いのは、中に入ってしばらくすると、まるで脳の回転が鈍くなったように思考が遅くなり、やがては、頭の中が空っぽになってしまったかの如く、思考が一時停止したような体験をしたというものです。眠ってしまったのではないかと思われるかもしれませんが、そうではないのです。このことから、感覚情報という脳への入力が無いと脳は働かないと言えるようです。