水面に投げ入れた小石によって波紋ができるというのは、小石が落ちた地点から離れた場所の水が動くこと(運動エネルギー)ですから、『波動はエネルギーである』ということは理解しやすいと思います。もっと私たちの身近な例を挙げれば、地震のことを思い浮かべればよいと思います。地震は大地の揺れ(振動)ですから、波動の一種です。地中深くで発生した地震波が地上に届くと、地面を激しく揺らすのです。そして、そのエネルギーが強大な時には、地面に亀裂を生じたり、建物を倒壊させたり、山を崩したり、津波を起こしたりします。これは地面のゆれ方が大きい為で、すなわち、『波動は振幅が大きいほどエネルギーが大きい』のです。
また、『波動は周波数が高いほど(波長が短いほど)エネルギーが大きい』ことが言えます。量子力学には次のような式があり、光の二重性(波動性と粒子性)を最も端的に表すとされています。
[ E:エネルギー、h:プランクの定数、ν:振動数(周波数) ]
波動はそれ自体がエネルギーですから、当然その波動を発生させる時にエネルギーが必要です。そして、波動が伝播した先にエネルギーを伝え、そこで何らかの作用を及ぼします。例えば、音波の一つである私たちの声は、喉のところにある声帯が振動して、空気を振動させることにより発生します。空気の振動は誰かの耳の中まで伝播して鼓膜を振動させ、声を伝えます。また、放送電波の場合は、アンテナのような金属に到達すると、そこに微弱な電流を生じます。この電流から信号を取り出して音声や映像に変換しているのがラジオやテレビなのです。そして、ラジオやテレビが流す音声や映像という情報は、あらかじめ放送電波に乗せられていたのです。つまり、『波動は情報である』ということです。